オーナー向け経営情報
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賃貸経営の事業承継 ~賃貸建物を贈与する場合~
2018-08-21
賃貸オーナーにおいては、そろそろ経営を子供に任せようかとお考えの方もいらっしゃると思います。
例えば、アパートなどの賃貸建物を子供に生前贈与する場合、どのようなことを考えなければいけないのでしょうか。ここではアパートの土地と建物を分けて、建物のみを贈与するケースを取り上げます。
●節税を目的とした賃貸建物贈与 …そのメリット
①賃貸建物を子供へ生前贈与することにより資産の所有権が親から子供に移ると、その家賃収入は建物の所有者に帰属するので子供のものとなります。そのため、親は相続財産を減らすことが出来、子供はきたる相続時の納税資金として蓄えることができます。築年数の古いアパートでは建物評価額が低いので、有効な相続税対策の一つとして挙げられます。
②親が複数の賃貸物件を所有するなど多くの不動産所得がある場合、親よりも低い所得税率が適用される子供にアパートを贈与することで、所得税などの軽減が可能となります。
●借入金の残債などがある場合は注意 …負担付贈与
賃貸建物を贈与する際、建設にかかる借入金の残債などがある場合、その債務も同時に負担させる「負担付贈与」となり、贈与財産の価額から借入金などの負担額を引いた金額に対して贈与税が課税されます。
ここで注意が必要なのは、「負担付贈与」における贈与財産の評価額です。 アパートなど賃貸建物を生前贈与した場合、その建物評価は相続税評価額(固定資産税評価額)となります。しかし、借入金も一緒に負担付贈与された場合、贈与財産の評価額は相続税評価額ではなく、通常の取引価額(時価)で評価されます。
通常、時価は相続税評価額より高いので、贈与税が多くなってしまいます。
●敷金や保証金にも注意・贈与した側の譲渡所得にも注意
入居者がいる賃貸建物の場合、入居者から預かっている敷金などがあります。敷金は将来入居者に返還義務がある債務なので、入居者がいるアパートを贈与する場合、その敷金なども一緒に贈与されることになり、負担付贈与とみなされ時価評価となってしまいます。
この場合、返還義務のある金額だけ(例えば敷金分だけ)現金を一緒に贈与することで負担付贈与とみなされなくなります。
また、贈与した側(親)にとっては、債務を免れる金額(借入金相当額)で譲渡をしたものとしてその取得費との差額について譲渡益が生じることとなり、譲渡所得税が課税されることになります。
賃貸建物を相続税対策などで子供に生前贈与する場合には、借入金の残債が無い物件とするなど、十分な検討が必要です。その上で、贈与後に発生する物件からの収益(家賃収入)が子の相続納税資金になるため、早めに行うことで実質的な財産移転・事業承継が可能となります。
このほか、不動産が絡んだ相続対策には様々なケースによりメリット・デメリットを検証する必要があります。詳しくは税理士や不動産コンサルタントにご相談ください。
参考:「全国賃貸住宅新聞」 ㈱全国賃貸住宅新聞社
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ページ作成日 2018-08-21
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