リフォーム費用の確定申告
2012年1月27日掲載
そろそろ確定申告の時期が近づいてきました。賃貸経営をしていると、給湯機の修理やクロスの張替えなど様々な支出があります。
賃貸物件数の増加に伴い借り手市場と言われて久しい昨今、賃貸市場はオーナーにとって厳しい状況が続いています。そんな中、より選ばれる物件になるべく、所有する物件をリフォームされた方も多いのではないでしょうか。
こうした建物などの修繕費用は、確定申告ではどのように処理するのでしょうか?
税務上、以下の二つに分けられます。
●「修繕費」:その資産の通常の維持管理のための費用や原状回復のための費用が挙げられます。修繕費とみなされるとその年の必要経費として一度に経費計上できます。
具体的には次のような費用が認められています。
@ 少額(20万円未満)、または周期がおおむね3年以内のもの。
A @に該当せず、資本的支出か修繕費かの判定が明らかでない場合には、60万円未満のもの、又は前期末取得価額の10%以下のもの。
<修繕費となる通常の維持管理のための費用>
・家屋または壁の塗り替え
・畳の表替え、障子・クロスの張替え
・床や瓦の毀損部分の取り換え 等
●「資本的支出」:その支出により資産の使用可能期間が延長されたり、資産価値を増加させるものが該当します。例えば、避難階段の取り付けや、外壁を従来の吹き付けからタイル貼りへ変更する工事などが挙げられます。いわゆる建物のグレードアップは資本的支出になります。
資本的支出とみなされると固定資産計上し、耐用年数に応じて毎年減価償却費を計上することになります。
オーナーにとってはできるだけ修繕費として一度に全額計上したいところですが、両者の判定には難しいところもあり、その支出の金額や周期、目的などにより個別に判断していくことが必要になります。
詳しくはお近くの税務署又は税理士におたずね下さい。
★今年の確定申告の相談及び申告書の受付は2月16日(木)〜3月15日(木)までです。
確定申告期間中は、平日以外でも一部の税務署では2月19日と26日に限り、日曜日も確定申告の相談、申告書の受付を行います。
横浜・川崎地域では、鶴見・横浜南・神奈川・戸塚・緑・川崎南・川崎北・川崎西・合同会場(横浜中・保土ヶ谷)が該当しています。
参考:「全国賃貸住宅新聞・オーナー専科」 椛S国賃貸住宅新聞社
このページのトップへ▲
建物の耐震を考える
2011年12月29日掲載
2011年は地震の発生や規模について、事後に「想定外だった」では済まされないという事を再認識しました。今一度建物の耐震性について理解を深めておく必要があります。
●耐震性能の要素
耐震性能の要素は建物の強さ、粘り、形状、経年状況以上の4点によって決まります。建物は頑丈さだけではなく、粘り強さがないと一定以上の衝撃で一気に崩れてしまう危険性があります。また、形状も大きな要素で、構造上バランスが良くない建物は一か所に力が集中してしまうことがあります。L字型や細長い形状、一階部分が広い駐車場やピロティなどがあるマンションは要注意です。
また構造の劣化具合によってもその建物の強度は変わります。RC造では水によるサビで耐力は著しく低下してしまいますし、木造では白アリよる被害で大きく強度が低下します。
●建築年も注意
昭和56年以前に建てられた建物は要注意といわれています。昭和56年6月1日に建築基準法が改正されて、構造基準が新耐震基準となり強化されました。
それ以前の旧耐震基準で建てられた建物は大地震等に対する耐震性能が不足している可能性があります。
●耐震性能を表すIS値
上記のような耐震性能を総合してIS値という数値で評価されています。IS値が1.0以上の場合、その建物は「一応安全である」とされています。
0.7〜1.0未満は「やや危険」、0.7未満では「倒壊または大破壊の危険性がある」となっています。
新耐震基準ではIS値が1.0以上であることが条件です。
●壁のひびは大丈夫!?
震災後壁のひび割れについての問い合わせが急増した背景には、「地震の影響で建物の強度が落ちて次の地震で倒壊の危険がある」という不安が増大したことが挙げられますが、壁の役割によってその危険性は異なります。構造の一部として建物を支えているものもあれば、柱や梁が支えていて壁は補助的なものという場合もあります。また壁にひびが入ることで地震のエネルギーを発散しているというケースもあるので、ひびイコール構造的な欠陥にはなりえないので、注意が必要です。
ただ、壁のひびを放置してしまうと、水や空気の通り道となり躯体構造の劣化につながる可能性があるので、早めにひびを塞ぐ改修をしたほうがよいでしょう。
●耐震診断
建物の耐震性について不安がある場合は早めに耐震診断を受け、耐震改修工事が必要な場合はその規模や耐震性能によって費用が異なるので、複数社に相談し、よりよい方法を選択していくことがベストでしょう。
●弊社では日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)加盟の信頼できる建築会社を御紹介する事ができます。耐震診断、耐震工事をお考えの方は是非ご相談ください。
参考:「週刊全国賃貸住宅新聞」椛S国賃貸住宅新聞社このページのトップへ▲
古いアパートを親から子供へ贈与する
2011年12月2日掲載
長く賃貸経営されている賃貸オーナーの中には、古いアパートを所有している方も多いと思います。そして気になるのがその相続や贈与についてではないでしょうか?
●アパートの価値は?
木造で築年数が古いアパートは、多くはその評価額が低くなっています。
あるアパートを例に挙げますと、土地90坪に建つ木造2階建てアパート(80坪)、昭和61年建築当時の一般的なもので建物の固定資産税評価額650万円。土地の路線価は坪70万円なので、土地価格6300万円です。このアパートの受取家賃は年額800万円。
土地路線価と建物固定資産税評価を合計すると6950万円ですが、相続税課税価格は貸家評価で少し下がり5600万円程度になります。不動産としてアパートの土地建物を贈与すると、5600万円に対する贈与税課税となり、約2500万円の贈与税が課されてしまいます。
このアパートを売却する場合は、家賃収入が年間800万円で利回り8〜10%とすると、投資物件としての価値は8000万円から1億円となります。
アパートの収益力を価値として見出すと、築年数が古くてもしっかりとメンテナンスをして、立地も良ければ、年額800万円の安定的な家賃収入は魅力です。
●アパート建物の贈与
アパートの家賃収入は建物の所有者に帰属し、アパート敷地の所有者には帰属しません。親から子にアパート建物を贈与すると、アパートの家賃収入は子のものとなります。建物の固定資産税評価額が650万円とすると、貸家評価減も加味して贈与税は44万円。これだけで、今後年間800万円の家賃収入が子のものになるわけです。贈与税は建物固定資産税評価額を基準に評価しますが、築年数の古いアパート建物ですと、受取家賃収入のわりにその評価額が低く、少ない贈与税で大きな収益力の贈与が可能となるのです。
贈与税の課税は1回きりで、建物という財産を移転でき、その後の家賃収入も子のものとなるので、きたる相続時の納税資金を確保するという点においても有効な相続税対策となります。
●贈与に適した物件は?
収益力贈与に適した物件は、高家賃水準地で、築後年数が経過したアパートや賃貸ビルです。
土地の値段が高い(家賃水準が高い)けれども、建物が古い(贈与税課税の対象となる固定資産税評価額が低い)物件は、課される贈与税が低いわりに、高利回り物件という大きな収益力を贈与できるからです。また、建築費のローンが終わっているということも重要です。
ただ、アパートの敷地は親所有で、建物が全部子所有となると、アパートの敷地は評価額が低くなる「貸家建付地」ではなく、子にタダで貸している「使用貸借での貸付地」です。相続評価は更地評価となってしまいます。
建物収益力の贈与は、長期的には子が家賃をためることで相続税対策になりますが、短期的には逆効果となってしまいますので、注意が必要です。
このページのトップへ▲
賃貸入居者の不満からニーズ発掘
2011年9月30日掲載
現在賃貸物件に住んでいる入居者が、住まいについてどのような不満を持っているかについて、インターネット調査をした結果が出ています。(リクルートSUUMO調べ 調査期間2011年3月5日〜8日)「賃貸住宅新聞2011/10/3 リクルートSUUMOマーケットレポートより」
建物の築年数別に様々な項目の不満率が出されており、それによると、築年数が古い部屋に住む人はお風呂に対する不満が高いとのこと。特に築15年以上の物件では「お風呂場・バスタブが狭い」「お風呂に追い焚き機能がない」「お風呂が寒い」などといった不満率が高く、40%を超えています。ここ15年間のうちに、浴室の設備等の変化は著しいものがありますが、そうした変化を感じながらも対応していないと不満が出ているものと思われます。
浴室のフルリフォームはコストが高くついてしまいますが、給湯機を追い焚き機能付きにする、浴室換気乾燥機を設置するなど細かい設備のグレードアップは、物件の空き室期間を減らすためにも一考の価値があるのではないでしょうか。
築年数が5年未満の新しい物件では「壁に釘が打てない」という項目への不満率が他の項目に比べて特徴的に高く、43.2%となっています。新しい物件は設備や機能の上では充実しているため比較的物件に対する満足度は高いですが、入居者が「もっと自由に使いたい」「もっと自分らしい部屋にしたい」という気持ちが出てきたときに、思うようにできないと不満度が高くなってしまうようです。
「部屋のリフォームやカスタマイズをしたいと思った事があるかどうか」についても、同調査で質問していますが、約90%の人が「ある」と答えている結果が出ています。そして「どんなカスタマイズをしたいか」という質問には「壁に棚板やフック・コートハンガーを取り付ける」「造り付けの収納を付ける」という答えが上位に挙がっているとのことです。
別の調査では「今後10年を想定しての希望する住まいの形態」について尋ねたものがあり、こちらも賃貸住宅新聞に掲載されていました。(積水化学工業樺イべ 調査期間2011年7月9日〜20日) それによりますと、「賃貸派」「どちらかといえば賃貸派」が54.4%、どちらかと言えば自己所有派(非賃貸派)」が17.2%と「賃貸派」が5割を超える結果となっています。
「賃貸派」の理由としては、「引越しなどの自由度がある」ことが主なものとして挙げられています。逆に「非賃貸派」の理由としては「賃貸だと手を加えたり、自由な変更ができない(釘をうつなど)」ということが52.6%となっており、「賃貸に良い間取りがない」「プライバシーが保てない」など他の理由が20%前後の中、突出しています。
ただ単に壁にフックを取り付けたりできるようになるだけではなく、もっと進んで入居者が自由にカスタマイズできる部屋づくりが賃貸住宅でも可能になるなど、今出来ない事ができるようになれば、賃貸派のすそ野がもっと広がるかもしれません。
もちろん原状回復の問題を明確にする必要がありますが、入居者のこうしたニーズへの対応を可能にする仕組みが出来れば、新たな賃貸需要の開拓につながります。
今後、日本の人口減少に伴い賃貸の需要も減っていくという局面で、大きな対策の一つになりますね。
このページのトップへ▲
「原状回復のガイドライン」再改定
2011年9月30日掲載
賃貸住宅の退去時におけるトラブルを未然に防止するため、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が今年8月に再改訂されています。再改定版はこちらです。
*改訂のポイント*
●今改訂では原状回復のトラブルを、退去時の問題ではなく入居時の問題として捉えています。
退去時ではなく、契約締結時に原状回復条件を賃借人に具体的に示すこととして、契約書に添付する雛型様式が追加され[表@]、また、原状回復費用精算の透明化を図り精算明細書の雛型も掲載されています。
退去時トラブルが発生した際にガイドラインを参照するのではなく、当初の契約の段階で添付して説明することにより、借主への事前理解を促す事ができます。トラブル未然防止のためには、賃貸人・賃借人双方が原状回復に対する認識を共有することが重要で、こうした流れを普及・促進するのが狙いです。
表@「添付する原状回復条件に関する様式」(一部抜粋)
<賃借人の負担単位>
| 負担内容 |
賃借人の負担単位 |
経過年数の考慮 |
||
|
床 |
既存部分 |
カーペット |
毀損等が複数箇所の場合は居室全体 |
6年で残存価値1円となるような負担割合を算定する |
|
フローリング |
原則u単位 |
補修は経過年数を考慮しない。(フローリング全体にわたる毀損等があり、張り替える場合は、耐用年数で残存価値1円となるような負担割合を算定する) |
||
|
壁・天井 |
毀損部分 |
壁 |
u単位が望ましいが、賃借人が毀損した箇所を含む一面分までは張替え費用を賃借人負担としてもやむをえないとする。 |
6年で残存価値1円となるような負担割合を算定する。 |
|
タバコ等のヤニ、臭い |
喫煙等によりクロス等がヤニで変色・臭いが付着した場合のみ、居室全体のクリーニングまたは張替費用を賃借人負担とすることが妥当だと考えられる。 |
|||
経過年数による残存価値割合について、従来、償却期間経過後の賃借人の負担が10%となるようにしてきましたが、平成19年の税制改正によって残存価値が廃止され、残存簿価が1円まで償却できるようになりました。ガイドラインにおいてもこれに沿った形となりましたが、1円だから何をしてもいいというわけではない事が表記されています。具体的な事例を挙げて、残存価値が少なくても、使用可能な設備等を使用不可な状態にしてしまった場合、使用可能な状態に戻すまでが借主の責任だとわかるようにしています。
●Q&A、裁判事例の追加
よくある質問としてQ&Aを追加、また、主な判例21事例が追加され、総掲載判例数は42となっています。
様々なケースについて参照できるようになっています。 参考:「週刊全国賃貸住宅新聞」 椛S国賃貸住宅新聞社




